医政局長への陳情


現在、日本国内のお産のうち52%が病院で、47%が診療所で、そして1%が助産院または自宅で行われています。それぞれの施設に長所と短所がありますが、現在では妊産婦さんご自身の希望や母児の健康状態、お産のリスクなどを考慮して、どこでお産みになるのかを選んでいただいています。日本は欧米に比べて小規模の産科施設が多く、緊急時の対応についてはさらに改善の余地があるといわれています。しかしそれでも現在、世界最高水準の周産期死亡率の低さと欧米に引けをとらない母体死亡率の低さを誇っています。

しかしながら平成14年・16年の厚生労働省看護課からの「医師と助産師以外は内診してはならない」という通達によって、相当数の病院や診療所で分娩を扱うことが困難な状況に陥っています。通達の根拠となった保助看法の解釈を巡っては様々な意見が出されていますが、それはここでは触れません。また看護課からはお産の現場での助産師の積極的な関わりを求められていることも十分承知しております。産科医と助産師、看護師、准看護師との役割分担のあり方については今なお多くの議論があり、今後にわたって検討されるべき問題です。

しかし上記通達によって生じた分娩施設の不足はまさに喫緊の問題です。実際に郡部はもとより都市部でも各勤務帯に必ず1名以上の助産師を確保することが困難な病医院は相当数にのぼります。

そのような状況で内診を含む分娩経過の観察をすべて医師がおこなうことは困難であり、健康を損なうか廃業せざるを得なくなるでしょう。その結果、都市部ではただでさえ産科医不足の大病院に分娩が集中し、勤務医の疲弊を招き、退職者が続出することも十分予想されます。すでにお膝元の東京においても複数の周産期センターが医師不足のために閉鎖を余儀なくされています。また郡部でもすでに公立の産科施設が閉鎖されている地域が増加しており、唯一の産科施設である医院・診療所が廃業すれば、一時の隠岐島のように本当に産むところがなくなってしまいます。

このように厚生労働省看護課からの通達は、現在の周産期医療の危機的状況をさらに悪化させるものであります。一方で、看護師や准看護師の「内診」が母児の健康に悪影響を及ぼしているという根拠はどこにもありません。このような状況に鑑み、多数の「お産難民」の発生防止と母子保健推進の立場から、上記通達を撤回していただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

2007年2月19日




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